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2023年 1月 30日 大学での勉強ってどんな感じ?~大気科学編~

皆さんこんにちは!

月曜日担当の澤です。本日は前回予告した通りに具体的な勉強内容を紹介していきます!

今回を含めて3回、大気科学についてお話していこうと思います。

 

 

大気科学分野の研究については、私たちの普段の生活にも生かされています。

例えば、皆さんが利用している気象予報についても、大気科学、とくに気象学の知見を基に行われています。

昨今取り沙汰されることが多い地球温暖化について、その予測は大気力学気候システム学の知見を基に行われています。

 

紹介したいことはいろいろあるのですが、今回はその中でも気象学に絞ってお話します。

そもそも気象学とは?大気力学とか気候システム学とか言われても何が違うのか分からない!という人も多いかと思います。私も正しい説明ができるかと言われたら正直怪しいです(本当はよくない)…。

学問的な定義については専門書等に譲るとして、大まかな認識としては、扱う現象のスケールによって区分されると思ってもらっていいのではないかと思います。気象学は比較的小さなスケール(マイクロスケール、メソスケール)の大気現象を扱う学問です。

 

興味を持ってもらえそうな話題…ということで、春学期に気象学の授業を受けた中で、割と自分の中で衝撃を受けたことについて紹介してみようかと思います。

地理選択の皆さんは、教科書の比較的前の方のページでフェーン現象についても学んでいるのではないかと思います。

高校の教科書的では、フェーン現象は「空気塊が山を越える際に雨を降らせ、反対側の斜面を乾いた空気が下りる」という現象であると説明されます。この説明を聞くと、「フェーン現象って降水とセットなんだ!」という認識になりますよね。

ですが、実はそうではないんです…。

フェーン現象が頻繁に見られる富山県での研究で、降水を伴うフェーン現象は全体の1割にも満たないことが明らかになっています。

そもそも、フェーン現象は大きく分けて2通りの仕組みで起こります。

1つは先ほど述べた通り、教科書に記載がある、降水を伴うものです。湿った空気塊が山にぶつかって斜面を上ると気温が下がり、水蒸気が凝結して雨を降らせます。雨を降らせた後の乾いた空気が反対側の斜面を下って、反対側の斜面の風下では気温が上がります。

もう1つは雨を伴わないもので、もともと高所にある空気が斜面を下りて気温が上がります。

後述のパターンがフェーン現象としては主であり、先行研究でもそれが知られていますが、なぜか日本の地理の教科書では降水を伴うものが主体のような記載が多いらしいです。不思議ですね…。

より詳しい研究内容を知りたい人は、ぜひ筑波大学の日下博幸先生のHPや関連記事・論文に目を通してみてください!

 

身近な(?)例としてフェーン現象を挙げましたが、このように、高校で学んで当たり前だと思っていたことが実はそうではない、あるいは間違っている、ということもあります。

大学での勉強はより専門的になるので、高校までの勉強とはまた違った楽しさがあります。皆さんにもぜひ、実感していただきたいです。

 

 

次回のブログ担当は高木先生です。

お楽しみに!